あきしののみてら - 秋篠寺



近鉄の大和西大寺駅の北西、田園の中の小さな里に囲まれた林の中に秋篠寺はあった。半世紀あまり昔のことである。畑のあいだの道をのんびりと歩いていくと20分足らずでこの静かな寺に到着する。

寺の近くに競輪場が出来た衝撃は、京都タワーの比ではないように、当時学生であったボクたちには思えたものだ。
今、この道の両側は住宅を中心とする近郊都市に変貌して、競輪場もあるのだがその存在感は都市化の波に飲み込まれてしまっているように見えた。


東門の前はクルマが交互通行しなければならないようなクランクの狭い道路で、昔ながらの民家もここは半世紀前とまったく同様で、この門から秋篠寺の境内に入って行く。

多くの大和の寺がそうであったように、平安末から鎌倉にかけての兵火に見舞われて、今、この本堂は鎌倉期に修復された旧の講堂である。この中に人気バツグンのといっては申し訳ないかも知れないが、かの伎芸天像が、他の仏像たちとともに静かに佇んでいらっしゃる。


贅肉(あまりじし)なき肉置(ししおき)の婀娜(たをやか)に
み面(も)もみ腰もただうつつなし  - 吉野秀雄



真夏の週日の午後、子供連れの若い家族一組だけの静かな秋篠であった。
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D700, PC-NIKKOR 28mm/3.5








東門を入ると正面の土塀越しに本堂の屋根を見ながら直角に左に回りこむ。
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さらに右手の苔生した林の樹間からわずかに本堂の屋根を望みながらのアプローチとなる。
この林は旧金堂の跡地である。
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by kurakame | 2011-08-13 09:12 | Comments(2)
Commented by belage at 2011-08-13 17:07 x
寺の近くに競輪場ですか!いくらお金が欲しいからと言って
たまりませんね。東京の馬券売り場も盛り場にあってすら、
欲しくはない施設です。
夏場の奈良はまた一味違うでしょうね。奈良独り占めって
感じじゃないですか。
Commented by kurakame at 2011-08-13 20:07
belageさん、奈良で競輪場を造ろうとすれば、必ずといっていいほど何らかの文化遺産に隣接しそうです。
秋篠寺でショックだったのは、「たをやかな」伎芸天のおわす、
このひそやかな存在の名刹との対比が大きすぎたからかも知れません。
真夏の奈良は50年の時を経て、さまざまな記憶が甦ってきますが。
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