南嶺山香林寺 - 昭和の伽藍

承前。雑木林を巡る小路を辿ってようやくにして五重塔に到着。塔の周りは一面の墓地で、境内の最も高い位置にある。そここにある案内板などによると、香林寺の縁起はおよそ次のようであった。

南嶺山香林寺、臨済宗建長寺派。1525年の創建、文政の火災、関東大震災で大きな被害を受ける。

戦後、昭和の中頃からの近郷住宅地の開発に伴う土地区画整理により、墓地を香林寺に集約し、境内の大規模な整理、伽藍の改築が始まる。昭和53年には墓地移転を供養のために、鐘楼を建設。昭和62年には境内整備事業の最後に、区画整理完成を記念して五重塔が建設された。

なんと、復元ではなく新たに建設された昭和の五重塔であった。


遥かに住宅地を見下ろす高台に、これも昭和の鐘楼がある。
大晦日、谷を越え、丘を伝って、近郷近在に(わが家にも)聞こえていた除夜の鐘はここからであった。

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Leica M9, NOKTON classic 35mm/1.4SC




墓地の中央に立つ五重塔。一般的に塔のデザインは時代が下るに連れて装飾的になり、結果全体のバランスが崩れがちになっているように思えるのだが。この塔は、少なくとも江戸期以前の素直でおおらかなシルエットを持っている。

解説によると、禅宗様で躯体はSRC造であるが、外部は全て檜造りであるという。内部には釈迦初転法輪像(石造、復刻)が納められている。

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塔や鐘楼のある墓地から本堂にいたる坂道にそって、これも新しい石造の三十三観音像が並んでいる。正確には、北側の山門から本堂にお参りして、この観音に見送られて墓地に向うということになるであろう。

なお、墓地の一隅には、高村光雲作の聖徳太子像を納めた小さな聖徳太子殿もある。

これらの施設はほとんどが、近在有志による寄贈だということ。山や畑が住宅地に変わり、このような形に生まれ変わったということになるのであろうか。
合掌。

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              香林寺 - 川崎市麻生区細山
by kurakame | 2011-11-04 09:06 | M9 | Comments(12)
Commented by seibo616 at 2011-11-04 12:20
kurakameさん:こんにちは。
これは昭和の五重の塔でしたか、でも風情はありますね。
最後の鐘楼と菩薩様が良い風情ですね。
Commented by kurakame at 2011-11-04 17:26
seiboさん、改めてこのお寺の新しさが見事に調和しているのに感動しました。
たぶん、卓越した指揮者さんと凄腕の演奏家たちがいたのではないかと、想像しています。
Commented by pubcom156 at 2011-11-04 22:35
Kurakameさん
素敵な風合いですね。
ところでNokton ”Classic” 35mmでしょうか?私もゲットしました。まだ、使っていなんですが。Kurakameさんの写真見て使うのが凄く楽しみになってきました。
Commented by bluebrops_angela at 2011-11-05 06:27
今日もまたまた素敵なモノクロのお写真!!
感激しながら見ています。
昭和の五重塔に、新たな歴史を感じます。いつの日か昭和も
遠い昔の記憶に変わっていくのでしょうね(^-^)
最後のお写真の観音様はマリア様とも重なるような・・・
Commented by kurakame at 2011-11-05 08:10
pubcomさん、失礼しましたNOKTON classic 35mm/1.4ですね。(訂正しておきました。)
現代レンズにしてはネーミングに違わずclassicな描写も見てとれます。
観音さまは絞り解放です。
Commented by kurakame at 2011-11-05 08:14
angelaさん、香林寺は丘のテッペン、大きな池でもあれば数百年後には白水阿弥陀堂の風情になり得たかもですが。
そういえば、観音さまは、極東のマリアさまなのかも知れませんね。
Commented by belage at 2011-11-05 08:14 x
先の写真では住宅の中に埋没していたように見えましたが、
こうして見るとやはり存在感はありますね。
ここで108つの鐘の音はかなり身体に響くような音が聞こえる
んでしょうね。
Commented by kurakame at 2011-11-05 09:14
belageさん、ボクがこちらに越してきた当時、近隣を歩き回ってこの寺にも来ているのですが、
一向に印象がありませんでした。
伽藍が整備された年代を見ると、なるほど、もっと昔だったのです。(笑)
この鐘の音もなかなかの響きで除夜の雰囲気を盛り上げてくれています。
Commented by ramble-leica at 2011-11-05 22:15
このレンズ、良い描写をしますね・・・
ズミとはちがい、開放からのふんいきがいいですね。
Commented by kurakame at 2011-11-06 07:38
ramble-leicaさん、ビミョーは描写は良くわかりませんが、
ズミの35/1.4よりも軽くて小さいのが気に入っています。(笑)
曇り日だったので、開放が使えました。
Commented by chousan-drybox at 2011-11-06 13:44
続きがあったのですね。ネタばらしをしてしまったようで申し訳ありません。
この場にいると、この地にこれだけのものをこの年代に何故という素朴
な疑問が起きてしまいます。
Commented by kurakame at 2011-11-06 21:39
chousan-dryboxさん、ネタなんていうほどのものではありません。(笑)
ボクも、この時代にこれだけのものを、とびっくりでした。
熱心な檀家さんに大地主さんはじめ多くの地主さんがいて、区画整理、おりからの地価高騰・・、
なんて、下司の勘ぐりでしょうか。いずれにしても凄いことです。
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