高石神社の尾根(川崎市麻生区-前掲)の北側は一度急な傾斜での谷筋となり、その先はまた急な丘が続いている。高石の尾根の住宅の間から、北の丘を眺めると、この地では珍しく均整のとれたフォルムの五重の塔が望まれる。 屋根の勾配や軒の反りなどは、少なくとも江戸期以前の形式のように思われる。 こちらの丘も住宅がびっしりと建ち並んでいて、塔の丘のイメージの全景はなかなか撮り難い。 五重塔は香林寺(川崎市麻生区細山)である。尾根の北側がメインのアプローチであるが、近道をして南側から塔を目指す。 通りから住宅のあいだに時折見える五重の塔の方向に、やみくもに狭い急な坂道を辿る。柿畑をところどころに残して、このあたりまで住宅が建ち並ぶ。ついに、畑のあいだの長い階段になる。多分その先の森が香林寺であろう。 階段を登りつめて、ふと振り返ると、最近実施された小田急沿線の大規模開発で、すっかり削り取られた丘陵の、わずかに残された十二神社の丘が遠くに見える。 だいぶん近くに来たので塔は見えない。林の中の小道を分け入ってみると、畑が視界を開けてくれて、その先に目ざす塔が姿をみせていた。これで、香林寺の位置は確かなものとなった。
by kurakame
| 2011-11-03 09:17
| M9
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